意欲的な大学1年生のための教科書リスト【微積分】

ほとんどの大学の理系一年生の必修科目である微積の教科書を紹介します。

今回は微積分を今後応用していく上で盤石な基礎を固められる教科書3つ紹介します。

 

微積分の表面的な計算処理は高校数学の数学Ⅲとかなり類似していますが、その理論的強度は比べ物になりません。その「深さ」に気付けるかどうかが理解度の試金石であると言えるかもしれません。

 

※ここで紹介するものは、「単位が取れればいい」や「今後微積分を使う分野には進まない」という人にはまったくおすすめできないものですので注意してください。

 

松坂 和夫「解析入門 上」

www.iwanami.co.jp

松坂先生の数学入門シリーズの中で微積分に対応する巻です。(集合・位相入門で知ってい方も多いと思います。)数Ⅲの教科書からシームレスに接続できるように平易に書かれており、内容も標準的なレベルをしっかりと網羅しています。1冊目に最適な本です。多変数の微積分などについては「解析入門 中」を読むことになると思います。

 

杉浦 光夫「解析入門Ⅰ」

www.utp.or.jp

定番の網羅的教科書ですが、内容は非常に高度です。初学者が最初に読むと最初のユークリッド空間の位相的性質の部分で躓いてしまう可能性が高いです。しかしながら、内容はとても豊富かつ記述も明解で、数理系を専門とするのであれば必ず一度は(通読しないまでも)目を通すべき本であると思います。1年生のうちにここに書かれている内容を理解すれば、その後の学習がかなり楽になることでしょう。同時に、次学年以降に開いても様々な気付きを与えてくれます。

 

注意としては、演習問題の中にあまりにも難易度の高いものが紛れ込んでいるので、演習を完全に解ききるというのは1年生にはおすすめできません。

 

Walter Rudin「Principles of Mathematical Analysis」

www.maa.org

「英語版杉浦解析」と言える本です。

http://fulviofrisone.com/attachments/article/453/Principles%20Of%20Mathematical%20Analysis%20-%20W.Rudin.pdf

こちらのリンクからpdfを入手できます。

位相に関する説明から始まり、理論的に非常にすっきりとした記述となっています。質の高い演習問題が多くあり、全体としての完成度は随一だと思います。

 

以上、皆さんの参考となれば幸いです。