意欲的な大学1年生のための教科書リスト【統計】

今回は統計を今後応用していく上で盤石な基礎を固められる教科書3つ紹介します。

 

統計は昨今ブームとなっている機械学習の基礎としてしばしば取り上げられますが、基礎的な統計手法はすべての理系に必須な知識であると思います。ここでは概ね大学1年生の知識で読めるものを紹介しますが、統計を専門的に学ぶ場合はより高度な数学の知識(確率論など)が必要になります。それらについてもいずれ紹介しようと思います。

 

※ここで紹介するものは、「単位が取れればいい」や「今後統計を使う分野には進まない」という人にはまったくおすすめできないものですので注意してください。

 

倉田 博史・星野 崇宏「入門統計解析」

www.kinokuniya.co.jp

東大の教養学部の総合科目として開講されている「基礎統計」の教科書として採用されています。文系の方でも問題なく読めるように基礎から丁寧に解説が書かれています。この1冊だけでは不安な内容ですが、この内容を完璧にすれば統計検定2級は合格できると思います。

 

小寺 平治「明解演習 数理統計」

www.kyoritsu-pub.co.jp

演習という名前ですが、例題を通して効率的に統計手法を学ぶことができます。見かけによらずレベルは少し高めです。アクチュアリー試験の数学のための参考書としても定評のある本です。無論、理論の解説はあまりされていないので一つ目の本と併用すると良いと思います。

 

久保川 達也「現代数理統計学の基礎」

www.kyoritsu-pub.co.jp

教養レベル〜専門基礎あたりまでの内容を理論的にしっかりと網羅した本です。これを1冊完璧にすれば統計検定1級の統計数理は難なく合格できると思います。何冊も手を出すよりもこの本一冊を(苦労しても)何周もする方が近道になると思います。

また、この本の演習及び解答はこちらに掲載されています。これが自習する場合にはかなり助けになると思うので、総合的に最もおすすめできる本です。

sites.google.com

 

以上、皆さんの参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意欲的な大学1年生のための教科書リスト【微積分】

ほとんどの大学の理系一年生の必修科目である微積の教科書を紹介します。

今回は微積分を今後応用していく上で盤石な基礎を固められる教科書3つ紹介します。

 

微積分の表面的な計算処理は高校数学の数学Ⅲとかなり類似していますが、その理論的強度は比べ物になりません。その「深さ」に気付けるかどうかが理解度の試金石であると言えるかもしれません。

 

※ここで紹介するものは、「単位が取れればいい」や「今後微積分を使う分野には進まない」という人にはまったくおすすめできないものですので注意してください。

 

松坂 和夫「解析入門 上」

www.iwanami.co.jp

松坂先生の数学入門シリーズの中で微積分に対応する巻です。(集合・位相入門で知ってい方も多いと思います。)数Ⅲの教科書からシームレスに接続できるように平易に書かれており、内容も標準的なレベルをしっかりと網羅しています。1冊目に最適な本です。多変数の微積分などについては「解析入門 中」を読むことになると思います。

 

杉浦 光夫「解析入門Ⅰ」

www.utp.or.jp

定番の網羅的教科書ですが、内容は非常に高度です。初学者が最初に読むと最初のユークリッド空間の位相的性質の部分で躓いてしまう可能性が高いです。しかしながら、内容はとても豊富かつ記述も明解で、数理系を専門とするのであれば必ず一度は(通読しないまでも)目を通すべき本であると思います。1年生のうちにここに書かれている内容を理解すれば、その後の学習がかなり楽になることでしょう。同時に、次学年以降に開いても様々な気付きを与えてくれます。

 

注意としては、演習問題の中にあまりにも難易度の高いものが紛れ込んでいるので、演習を完全に解ききるというのは1年生にはおすすめできません。

 

Walter Rudin「Principles of Mathematical Analysis」

www.maa.org

「英語版杉浦解析」と言える本です。

http://fulviofrisone.com/attachments/article/453/Principles%20Of%20Mathematical%20Analysis%20-%20W.Rudin.pdf

こちらのリンクからpdfを入手できます。

位相に関する説明から始まり、理論的に非常にすっきりとした記述となっています。質の高い演習問題が多くあり、全体としての完成度は随一だと思います。

 

以上、皆さんの参考となれば幸いです。

 

 

 

 

 

応用数学への最短ルート!?

類書があまりない、面白そうな本を見つけたので紹介します。

Mathematics++: Selected Topics Beyond the Basic Courses」という教科書です。

www.maa.org

 

2019年度の東京大学工学部計数工学科数理情報工学輪講の教科書としても使われています。

www.keisu.t.u-tokyo.ac.jp

内容は、

Chapter 1. Measure and Integral(測度と積分

Chapter 2. High-Dimensional Geometry and Measure Concentration(高次元の幾何と測度集中)

Chapter 3. Fourier Analysis(フーリエ解析

Chapter 4. Representations of Finite Groups(有限群の表現論)

Chapter 5. Polynomials(多項式

Chapter 6. Topology(トポロジー

となっており、数学的に広範な範囲をトピックとして扱っています。予備知識としては数理工学系の学部3年程度が仮定されています。それぞれの内容を厳密に理解するにはこの本は不向きですが、数学の応用先のトピックを概観するには最適な本だと思います。

 

私自身まだ通読していないので、通読後に詳細なレビューをしようと思います。

 

 

 

 

意欲的な大学1年生のための教科書リスト【線形代数】

ほとんどの大学の理系一年生の必修科目である線形代数の教科書を紹介します。

線形代数の重要性はまた他の記事で書かせていただくとして、今回は線形代数を今後応用していく上で盤石な基礎を固められる教科書3つ紹介します。

 

※ここで紹介するものは、「単位が取れればいい」や「今後線形代数を使う分野には進まない」という人にはまったくおすすめできないものですので注意してください。また、大学数学の線形代数という科目において、教養学部レベルの内容が占める割合は(いろいろ考え方はありますが)1/3程度です。ここではより高度な線形代数の教科書は紹介しません。

 

南 和彦『線形代数講義』

shokabo.co.jp

この教科書は2020年1月発行のとても新しい教科書です。物理や工学に向かう視点で書かれており、初学者にも読みやすいです。また、少し高度なトピックにも付録で触れています。例えば、応用上非常に重要なPerron-Frobeniusの定理について証明までしっかりと書かれているので、次年度以降も度々参照する機会があると思います。

 

斎藤 毅『線形代数の世界』

www.utp.or.jp

この教科書は東京大学理学部数学科の2年Aセメスター必修科目「代数と幾何」の教科書です。抽象代数の視点から線形代数を明解に説明しています。最初の1冊としては挫折する可能性が高いのでおすすめできませんが、必ず読むべき本だと思います。この本を読めば、教養の線形代数は「行列算数」かの如く簡単に感じられることでしょう。

 

Gilbert Strang, 「Introduction to Linear Algebra」

math.mit.edu

洋書ですが初学者にも分かりやすいようにとても丁寧に書かれています。(基本的に洋書の方が説明が丁寧で分かりやすい印象があります。)インターネット上でPDFを無料で入手できたはずです。内容は標準的ですので、何か特徴があるというわけではありませんが、信頼できる本です。

 

以上、皆さんの参考となれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログ始めました。

初めまして、Aryaです。これが初めてのブログとなります。

 

よろしくお願いします。

 

私は東大で数理系を中心に勉強しているのですが、数学などの話題に囚われず、いろいろな題材について書いていきたいと思います。